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スーダン独立記念日の翌日に文民首相が辞任

元旦の1月1日は、新年の始まりのお目出たい日であるが、中東では1月1日は、特別な日ではなく日本のお正月や欧米が新年を迎えるカウントダウンとは様相が異なる。著者自身も、1月1日が平日に近い感覚の中東で暮らし、お正月が特別あるいは神聖との日本的な感覚は失ってから久しい。しかしながら、スーダンは、1956年1月1日に英埃から独立しており、それゆえ1月1日は、スーダンのアイデンティティを誇るべき独立記念日である。この独立記念日の翌日の今月2日にハムドク首相が辞任した。

スーダンでは、早期の民政移管を求める大規模な抗議デモが昨年12月19日に発生し、この時、デモ隊は首都ハルツームの大統領宮殿周辺まで到達した。デモ参加者らは、昨年10月25日のクーデターで解任されていたハムドク首相とそのクーデターの首謀者であり軍トップのブルハン主権評議会議長との間で11月21日に発表された枠組み合意に反対の声を上げた。

現地紙の報道などによると、その後、スーダンでの大規模なデモは、昨年12月25日、同30日、そして辞任発表の今月2日にも発生しており、スーダン医師委員会(CCSD)によると、それぞれの抗議活動で複数名の死者が発生しており、昨年10月25日のクーデター以降、ハムドク首相辞任前の時点で、累計57名が死亡している。

ハムドク首相は、このような事態の悪化を受けて2日に辞任を発表したが、ハムドク首相の辞任発表は、その演説原稿からも、スーダン独立記念日での国民向けの演説として準備されていた。独立記念日の首相演説が、翌日になされるのはなんとも間が抜けている。

一方、1月1日には、主権評議会が臨時開催され同評議会は、移行期間の運営を担うテクノクラート政権の早期成立を呼びかけている。これに加え、軍トップであるブルハン主権評議会議長による独立記念日の演説内容(ブルハン:スーダン危機への唯一の解決策は選挙によって国民の負託を受けること)が現地紙では引用されている。

こうしてみると、祝うべき独立記念日に首相に辞任されると軍の面目が潰れるので、独立記念日の主権評議会の臨時会開催、声明発出やブルハン議長の演説の後にするため首相の演説(=辞任発表)は、意図的に、軍によって1日遅らされたと読める。ちなみに、記念すべき独立記念日の1月1日にハムドク首相事務所が発表したのは、二度目の自宅軟禁を否定する声明だけである。

ハムドク首相は、数週間前から辞任をちらつかせつつ、最後まで諸政治勢力から軍部との11・21合意への支持獲得に努めた。この努力が実らないと判断すると、今度は効果的な辞任方法としてタイミングを独立記念日に定めたが、これも不発に終わった形である。

辞任演説で、ハムドク首相は、軍との枠組み合意につき、「全勢力を対話のラウンド・テーブルに集め、民主的な民政移管に向けた従来の道に戻すためだった」と主張したが、現地では首相の辞任以後も、軍との交渉自体を拒否し、クーデターの正当性を認めない民主派勢力によるデモが連日のように発生している。10・25クーデター以降の死者数は、今月6日時点で、60人に上っている。

今後の動きが懸念されるが、ハムドク首相が軍と合意した昨年11月21日の翌11月22日、日本語を含め各国語に翻訳されている書籍「イスラム国」の著者で署名なアラブ人ジャーナリストのアブドルバーリ・アトワン氏は、自身のコラムの中で、数千人のデモ隊による大統領宮殿突入とクーデター首謀者の拘束が最も起こり得るシナリオと見込み、ブルハン主権評議会議長とムハンマド・ハムダン・ダガロ即応支援隊(RSF)司令官のコンビに加え、第三の協力者ハムドク首相を打倒するまで、スーダンの抗議活動は継続する、と断言していた。今月2日のハムドク首相の退場(辞職)を受けて、事態がエスカレートしていることは間違いなく、目が離せない状況になっている。

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