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ロシア産石油の行先はどこに

ウクライナ危機を受けて西側諸国が課す対ロシア経済制裁が強化されロシア産原油を避ける動きが見られる。そうした中、ウラル原油の価格下落は顕著でありインドや中国は買い手が敬遠するロシア産原油を購入逆に増やしている。2021年4月中国は海上輸送によるロシア産原油の輸入量は日量86万バレルに達しており3月比で16%上昇している。中国のロシア産原油輸入増の割を食ったのはイラン産原油であり2022年4月の中国のイラン産原油の輸入量は70万バレルから65万バレルに減っており、イラン石油ガス輸出業者協会の関係者はこうした傾向から中国市場でロシア産原油がイラン産原油のシェアを奪うことはありえるとみている。

2022年4月インドのロシア産原油の輸入量は、日量27万バレルで3月の日量6万6千バレルからの急増である。これによって2022年4月ロシアはインドの原油輸入先の4位に躍り出た(1位はイラク、2位はサウジアラビア、3位はUAE)。リフィニティブ社の速報値では、インドの製油所はロシアからの購入を増やしており2022年5月のロシア産原油の輸入量は日量48万7、500バレルに達すると見込まれている。

 

 

 

 

 

5月4日欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、対ロシア制裁第六弾のパッケージに石油分野を含めロシア産石油を向こう6か月間で段階的に輸入禁止する提案している。同提案では、ロシア産石油の依存の高く、かつ、内陸国のハンガリーとスロバキアには2023年末までの猶予期間を認める方向であったが、それでもハンガリーの反対がありEU内での調整は難航している。代替先確保策とそのコストがハンガリーの懸念である。5月18日、欧州委員会はロシア産化石燃料からの脱却とクリーン・エネルギーへの移行を目指す計画「REPowerEU Plan」を発表しており、同計画ではロシア産石油への依存度の高い東欧の内陸国向けに代替石油の輸送パイプライン網の整備と製油所のアップグレードなどで15億~20億ユーロの投資が必要と見積もった上で投資を呼びかけている。日本を含むG7は、5月8日、ロシア産石油の段階的禁輸(フェーズ・アウト)の方向性を発表しているが期限は定めておらず代替先確保の猶予期間に幅を持たせている。そうした中、EUが期限を設けたロシア産石油のフェーズ・アウトに合意できるのか注目されている。

一方こうした動きに対し、プーチン大統領は、5月17日に開催された石油問題を協議するロシア政府内の会議で、西側諸国の制裁に対処するためロシアのエネルギー・セクターの再構築を図る必要性を示し、「原油の生産から最終的な消費者までのチェーンを構築すべき」と指示している。

中東アラブの産油国は一貫して追加増産は否定しており、5月10日にアブダビで開催された会議でサウジアラビアのアブドゥルアジズ・ビン・サルマン・エネルギー大臣は、「ウクライナ危機はヨーロッパとロシアとの間の問題。OPECは政治をOPECの会議室内には持ち込まない。」と発言し、UAEのスハイル・アル=マズルーイー・エネルギー大臣は「特定の石油をボイコットするような考え方はその背後にある動機に関係なく危うい行為だ」と発言している。

OPECなどの追加増産がなされない中、中国とインドの動きはロシア産の石油を巡り市場での玉突きが進む様相を示しており、EUの動向はそれを加速させそうだ。

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