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近く発表されるであろうアルカーイダ次期最高指導者は誰か

8月2日に米バイデン大統領がアルカイダ最高指導者のアイマン・アル=ザワヒリを殺害したと発表してから、時間が経過しているがアルカーイダは後継の最高指導者の発表には至っていない。アルカーイダの生存している名の知れた古参幹部は限られているため、予想される最高指導者候補は次の5名とされる。

〇ムハンマド・サラーフッディーン・ゼイダーン:エジプト出身。セイフ・アル=アデルの名で知られる。1960年4月生まれ。アルカーイダのナンバー3とされるが、全面に出たことはなく数十年裏方として活動。爆発物の専門家。90年代はビン・ラディンの警護責任者を務める。複数の国、特に、ソマリアやアフガニスタンなどでメンバーの軍事訓練を実施。80年代後半と90年代にはアフガニスタンで軍事キャンプを運営。9・11後イランに滞在。

〇アリー・ムハンマド・ムスタファ・アル=バクリ:エジプト出身。アブドゥルアジーズ・アル=ミスリーの名前で知られる。1966年4月18日生まれ。エジプトのジハード団の元メンバー。アル=ザワヒリと一緒にアルカーイダに合流し、シューラー評議会のメンバーとなる。セイフ・アル=アデルと同様イランに滞在。アル=ザワヒリ及びセイフ・アル=アデルに近いとされる。

〇ハーリド・サイード・バタルフィ:サウジアラビア出身でアラビア半島のアルカーイダ(AQAP)の指導者。元AQAPのメディア部門の統括者。2011年3月17日にイエメンのタイズ県で逮捕されムッカラーの刑務所で4年間服役した後、2015年に脱獄。2020年1月AQAP前指導者カシム・アル=リミの死亡後、AQAP指導者に就任した。

〇アブドゥッラフマーン・アル=マグレビ:モロッコ出身。本名はムハンマド・アッバタイ。アルカイダの広報アル=サハブ機関の元責任者。アル=ザワヒリの義理の息子であり、アル=ザワヒリの相談役とされる。ドイツに留学経験経験あり。

〇アブーオベイダ・ユースフ・アル=アンナビ:アルジェリア出身。マグレブ諸国のアルカーイダ(AQIM)の指導者。本名はムバーラク・ビン・ヤジィード。AQIMのアブデルマレク・ドルークデル前指導者が仏の特殊作戦で死亡した後、2020年にAQIMの指導者に就任。

エジプトのジハード団の元幹部、ナビール・ナイームによると、アルカーイダは、最高指導者の3条件(1.軍事活動歴(イラクもしくはアフガニスタンでの大規模な戦闘に従事)。2.アルカイダのビジョンの保持者。3.安全が確保できること。)を定めている。

条件設定が正しいとすると、参照できる経歴などからは上記の5名の内、アフガニスタンでの戦闘経験がなさそうなのは、AQIM指導者のアブーオベイダ・アル=アンナビだけのようだ。なぜイラクとアフガニスタンなのかは謎であるが、両国を国境を越えて戦う主戦場と位置付け、そこでの経験が最高指導者には必須としたのかも知れない。ただし、イラクでの戦闘経験だとイラクからシリアに渡ったヌスラ戦線系になるが、ヌスラ戦線自体は2017年1月にアルカイダと関係断絶を表明し、シャーム解放機構(HTS)の結成を発表している。

最高指導者の安全確保の面からは、イランに滞在しているとされるセイフ・アル=アデルと元ジハード団のアリー・アル=バクリが該当するかもしれないが、イラン滞在者がアルカーイダの最高指導者に就任するのは難しいとも指摘されている。アルカーイダ支部のヌスラ戦線時代に同組織のイスラム法責任者あったHTS幹部のアブー・マリア・アル=カハターニは、8月15日、セイフ・アル=アデルがアルカーイダの支部をイランから運営するなどあるべき姿ではないと批判しつつ、アルカーイダの支部はアルカイダ本体との関係断絶を発表すべき、とのジハード主義の過激派界隈では議論を呼ぶ助言を発表している。現在、HTSはアルカーイダとは関係ないとの表向きの建付けだが、最高指導者がイラン滞在者か否かは、就任の是非や就任した場合のアルカイダの組織運営にかかわってくるだろう。

アルカーイダの後継者の選定と発表に時間がかかっているのは、組織内部の混乱と意見の相違があると指摘されているところであるが、アルカーイダ広報部門のアル=サハブは、アル=ザワヒリ殺害後からこれまでの間に、いくつかのデザイン的にも質の高い広報物やアルカーイダの思想と計画を知る上では資料価値のある書籍を連続して公開している。新指導者の意向を無視して勝手に広報が発行しているとは考えにくく、また、9・11の意義を改めて振り返るなど新指導者の発表までの地ならし的な内容にも見える。これは次に向けてアルカーイダ内部が動いていることを示し、そうすると、アルカーイダ新指導者の発表は遠くない時期になされるのではないか。

 

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